文学部古文書室展示会
資料10:村差出御明細帳写
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村差出御明細帳写

展示資料10
 村差出御明細帳写(武蔵国足立郡染谷村) 竪帳 24.9×17.3p 天保13年4月

展示キャプション
 幕府や大名など江戸時代の領主たちが、村の概要を把握するために作成させた帳簿。一般に、村高、年貢高、小物成、家数、人数などが記載されている。

解説
 「村明細帳」は、幕府や大名などの領主たちが、村の概要を把握するために、村役人らに命じて作成させた帳簿の総称である。 実際には「村指出帳」・「村差出明細帳」・「村方明細帳」・「村鑑帳」など、多種多様な呼称がみられる。
 毎年決まって作成されたものではなく、@幕府の巡検使らの派遣や見廻り、A領主の代替り・交代、B将軍の日光社参時(沿道の村の場合)など、 必要に応じて作成・提出を命じられた。記される内容は様々であるが、領主側が雛形を提示し、必要な内容を求めるのが通常であった。 主に、村高・年貢高・小物成・家数・人数・牛馬数・普請場・朱印地などが記載された。
 展示資料9の解説にもあるように、村の立場からは年貢負担などとも関わってくることから、 作成に関して多少の作為があった可能性も考慮する必要があろう。
 本資料の染谷村は、現在の埼玉県さいたま市緑区上野田に位置し、寛永元(1624)年の年貢割付状によると村高は170石余。 現在のさいたま市見沼区染谷に位置していた染谷村から分村したことから、「新染谷村」・「染谷新田」とも記されることがあるが、 単に染谷村と記すこともあり、この両村を区別するのは極めて困難となっている。当室では、従来からの分類を踏襲し染谷村としている。 総計1763点の文書を所蔵しており、当室の地方文書のなかでも大規模な文書群のひとつである。

参考
 野村兼太郎『村明細帳の研究』有斐閣、1949

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