文学部古文書室展示会
資料番号
史料名
形態
法量
時代
30
関所手形
一紙
縦32.6㎝×横24.2㎝
文久元(1861)年9月12日
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関所手形 解説

展示資料30
 関所手形 一紙 縦32.6㎝×横24.2㎝ 文久元(1861)年9月12日


解説

 尾張徳川家蔵奉行手代小野又太郎の娘が江戸から名古屋まで赴く際、箱根の関所を通行するために作成された女手形である。女手形は関所手形の一つで、女子が関所を通行する時に必須のものであった。「入鉄砲に出女」という言葉で知られるとおり、江戸居住の諸大名妻女が国元へ逃亡することを防ぐため、特に江戸を出る女子の関所改めは厳格であった。江戸出立の女手形発行は幕府留守居(定員4~5名、役高5,000石、「旗本の極官」とされた)が担当した。関所では手形に押された留守居の印鑑が判鑑と照合され、身元、人数、乗物の数、出立地・目的地、申請者等の記載事項が厳密に確認された。本資料で目を引くのは、「伊賀」「播磨」の右肩にある「上京御用ニ付無加印」である。不在のため黒印が省略されたことを示すが、幕府諸役人の任免を記した『柳営補任』によれば、この時期、留守居・跡部伊賀守良弼(1799-1869)、戸川播磨守安清(1787-1868)の両名は、皇女和宮(1846-1877)の江戸下向の御供を命じられ、上京していた。何気ない手形であるが、幕末政局の動きも垣間見える資料である。
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