慶應義塾大学文学部古文書室
○ 古文書室の沿革
 慶應義塾大学文学部古文書室は、経済学部教授野村兼太郎が戦前・戦後を通じて収集した文書を中心に、その後、慶應義塾出身者などから寄贈・寄託を受けた資料をも併せ架蔵しており、それらの歴史資料を保管・管理し、未来へと受け継ぐとともに、広く学術利用に供することを目的として、2009年、文学部の下に設置された組織です。
 野村兼太郎は、鋭意収集した資料を自らの研究に駆使するだけでなく、大学院等の教育に活用し後進の育成の為に積極的に利用してきました。その没後、同教授の薫陶を受けた文学部教授中井信彦、経済学部教授速水融らの手によって収集資料がまとめられ、1969年に「古文書室」が創設されました。
 「古文書室」はその後も、大学院教育等に利用される一方で、経済学部を中心とする関係者の手に依り、所蔵資料の整理・目録作成作業と、資料を用いた学術的な研究が重ねられ、『三田学会雑誌』などに多数の成果が発表されました。 1989年からは、文学部教授田代和生を中心に、学生・院生の教育を兼ねた資料の整理作業が組織的に進められ、「所蔵古文書検索システム」の開発・公開や所蔵目録の刊行がなされ、資料の一般公開も開始されました。
 2009年4月、「古文書室」は慶應義塾の組織として正式に文学部の下に位置づけられることとなり、慶應義塾大学文学部古文書室と改称されました。これを機会に、慶應義塾大学メディアセンターの協力を得て、同センターに所蔵されていた資料の移管を受け、野村収集資料全体が本室で一括管理されることになりました。 文学部古文書室には、現在までのところ常勤の教職員は配置されていませんが、可能な範囲で、所蔵資料の管理・保管体制の充実と、一般公開について積極的に取り組み、慶應義塾、文学部、速水融・田代和生両名誉教授からの物心両面にわたる援助と助言とを受け、2011年には史料保存庫・閲覧室の改修を実施しました。また、遅々とした歩みではありますが、所蔵資料検索システムの拡充、資料のデジタル化とホームページ上での公開などを並行して進めています。